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北耕史様、オウム論のご感想を投稿いただき、誠にありがとうございます。
オウム真理教について、多くの読者は、江川紹子さんや森達也さんの仕事のように、対象に接近してその実情を具体的に描くことを望みますので、私のようなアプローチの仕方には、賛否両論があるようです。
とはいえ私は、できるだけ広い視野から現象を捉えることが学問の重要な役割であり、また、オウムが何だったのか、自分たちはどのような衝動に突き動かされてオウムの運動に身を投じたのかということは、実は麻原彰晃本人や(元)信者たちも良く分かっていないのではないかと考え、それを明らかにするために、『オウム真理教の精神史』のアプローチを選択しました。その試みを好意的に評価していただいたことを、嬉しく思います。
「宗教学が果たすべき役割」については、拙著の「おわりに」では明示的に記しませんでしたが、現時点で私が考えていることは、宗教学の産みの親である近代という時代の構造を、それを内側から解体させることが可能になるような次元まで徹底して分析するということです。とても困難な課題ですが、今後も微力を尽くしていきたいと思います。
また、誤植のご指摘もいただき、ありがとうございます。いずれHP上で初版の誤植を掲載すると共に、もし重版されることがありましたら、必ず修正するようにいたします。
http://gnosticthinking.nobody.jp/
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